【042】汝は宇宙人なりや?【ホラー・ミステリー】【オリジナル小説】
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042―シアワセ

1929年6月20日 晴れ
日記をつけ始めて、今日で一週間たった。お父さんが町のお仕事で貰って来たこの日記を無理やり始めることになったわけだけど、驚いたことにもう一週間も経っていた。そもそもこんな村じゃ日記に書くことなんてほとんどない。都会に行けばこんなこともないんだろうけど。そしてやっぱり、書くことが思いつかない。村は今日も平穏でした。これで終わりでもいいけど、なんだかんだノリノリで書き続けた過去の私に申し訳ないので、何かしら書こうと思う。
今日は村の紹介をします。人口はちゃんと数えたことないけど、多分五十人くらい。みんな町に出稼ぎに行くか、この村の裏にあるよくわからない鉱山で、何とか生計を立てている。私も同年代の子もみんな町にある学校に通っている。村に同年代の女の子がいないので、私は仕方なく男子と仲良くするしかない。特に仲が良いのは、私の父親の友人の息子のダンと村長さん家のジェイデン。ダンは頭は少し悪いけど、正義感がある。ジェイデンは真面目だ。学校が休みだったので、今日も村の中で多分一番大きいジェイデンの家で遊んだ。村長さんの家の人はとても親切で、外は戦争やら何やらとうるさくなっているけど、村が平和なのは村長さんのおかげだと思う。もう書くこともないので、今日の日記はこれで終わろう。

1929年9月13日 曇り
今日も村は平穏だった。と書きたいところだけど今日はそうでもなかった。こんなちっぽけな日記に書き込めないくらいには私にとっても、村の人にとっても、大事件が起きた。いつものように学校に行って、ダンとジェイデンと村に帰った時のことで、時間は確か三時くらいだった。村の上空によくわからない物体が浮かんでいて、それは学校で見た軍の戦闘機とも違う感じがした。側面はピカピカと光っていて、パイ皿みたいな形をしていた。私たちは村の広場まですぐに駆けつけて、更によくわからない光景に驚いてしまった。その謎の飛行物体の真下に、炎でよくわからない模様が書かれていて、真ん中には黒いコートを着た人が立っていた。その人は聞いたことない言葉を話していたけど、コートの中をまさぐったと思ったら、急に私たちの言葉を話し始めた。責任者がどうのこうの言っていたので、ジェイデンはすぐに村長を呼びに行った。そして村長は黒い人を連れて、村長の家に入っていって、だいたい一時間ぐらい話し合っていた。こっそり聞いていたジェイデンによると、あの人は別の星から来た人で、船のちょっとした修理のためにこの村に立ち寄ったらしい。あの紋様は私たちが素直に従ってくれるように、農業に使う技術で描いたもので、特に深い意味はないそうだ。そしてあの人は裏にあるお金にならない鉱石にすごく興味を示していた。なんとあの鉱石は全銀河共通で、取れる量が少なく、とても高いらしい。村長は大喜びで、契約を交わしたそうで、これで村のみんなもある程度裕福になれるそうだ。最後にあの人はここで滞在することになったので、村長からみんなに説明があって、村の外の人たちには決して話さないでくれとお願いされた。もう文字も書けなくなってきたので、ここで終わろうと思う。少し不安もあるけど、どっちかって言うと、やっぱりワクワクの方が大きい。明日も平穏が続きますように。

1929年9月14日 晴れ
今日は新しくこの村の一員となった宇宙人さんたちと自己紹介と村の案内をした。
あの宇宙船に乗っていたのは、全員で三人で、みんな地球人と同じような顔をしていてびっくりした。もっとグロテスクなものを想像していたので驚いた。ただあれは私たちを気づかって、そういう技術を使っただけで、本当の顔じゃないらしい。ぎたい? っていうらしい。少し本当の顔が気になったのは私だけ? 三人は自分の星の統一が終わって、新たな資源を得るための調査をしに来たそうだ。他にもたくさんの宇宙船が飛び立ったらしく、偶然このエリアを任されたのがあの三人という訳らしい。リーダーは黒いコートを着ていた人で、あのコートは軍事用に発明された特別なコートって言っていた。光線をはじけるらしい。名前はよく聞き取れなかった。見た目はダンディーなおじさんって感じで、本当の姿じゃないけれど、私の母親はもうあの人のファンになっていた。その次に偉いのが、何だか優しそうなお兄さん。こっちも名前が聞き取れなかった。そもそも違う言葉なので耳にまったく入らない。ウェル何とか何とかって言っていたので、私とジェイデンとダンは彼をウェルって呼んでいる。ちなみにダンディーな人はビリー。ビリーさんはにっこりと笑ってくれたけど、ウェルさんはそれでいいやみたいな顔をしていた。もう一人は女の人で、私的には一番接しやすかった。彼女に名前を付けたのは私で、マイア。すごくいい名前だと思う。マイアさんはとても喜んでくれたので良かった。マイアさんは元から異星人との交流に憧れていて、今の仕事についたらしい。マイアさんはとても綺麗だったので、村の男たちからとても人気だった。そんなこんなで新しい仲間たちと新しい生活が始まる、のかな?

1929年12月25日 晴れ
今日はクリスマスだった。村の大人たちのほとんどが町に出稼ぎに行くのを止め、鉱山で働いている。鉱山なんて最初は大変だろうと思ったけど、宇宙人さんの技術のおかげで、休みも多いし、お給料も多い。何より家族と過ごせる日がずっと多くなった。だからこうして今日は三家族合同でクリスマスパーティをした。村長さんの家で、私の家とダンの家のみんなが集まった。そしてそこにはビリーさんもウェルさんもマイアさんもいた。何だかんだいって、宇宙人のみんなはこの村を気に入ってくれている。ビリーさんは特にこの村のことを思ってくれているようで、クリスマスにあやかって村のみんなにプレゼントをしたいと言ってくれた。この人たちの技術とウラン鉱石があれば作れるアクセサリーみたいなものと言っていた。その時、ウェルさんとマイアさんがとても複雑そうな顔をしていたのはよく覚えている。ウェルさんとマイアさんはビリーを止めようとしたけれど、使い方を間違えなければみんな幸せになれるとか、どこから来たのかもわからない馬の骨を優しく迎え入れてくれた恩を返したいと言っていた。ウェルさんもマイアさんも渋々了解したようだった。途中、びみょうな雰囲気もあったけど、私はとても楽しかった。次もみんなで集まって、ワイワイやりたい。メリークリスマス。

1930年 4月8日 晴れ
今日、村長さんの家が大きな屋敷になった。ここ数か月、村に大工の人たちがたくさんやってきて、屋敷を建てていたけど、今日ようやくその屋敷が完成した。大人のみんなに渡されたしあわせの石とかいう綺麗なアクセサアリーの効果はとても凄くて、一年もたたないでこの村はこんなに成長した。今日は屋敷完成の記念に村の人みんなで集まってパーティをした。主役はもちろん宇宙人のみんなだ。彼らはしあわせの石のことをなんだかんだ心配していたようだけど、こんな絵にかいたような大成功をしてとても喜んでいた。あと少しで、私もダンもジェイデンも学校を卒業するけど、私はその心配をする必要がなくなった。私は今日仕事を見つけた。屋敷の使用人の数が揃わないらしくて、ライト家のみんなに声をかけてもらった。どうやら私はあの大きな屋敷で働けるらしい。私はこの家から通うけど、衣食住がついていて、お給料も良い。最高のお仕事だ。ダンは私のことをとても羨ましがっていたけど、マイアさんはとても喜んでくれた。ちなみにダンはいつしか帰ってしまう宇宙人たちの技術を盗みたいらしく、一番暇そうなウェルさんに弟子入りしようと頑張っている。ジェイデンは元からとても頭が良かったので、このまま進学するらしい。村のみんなも宇宙人のみんなもとても幸せだ。こんな幸せがずっと続きますように。

 

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