【ラノベレビュー】ボッチのオタクである俺が、学内屈指の美少女たちに囲まれていつの間にかリア充呼ばわりされていた (講談社ラノベ文庫)【感想、批評、ネタバレ】
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「小説家になろう」にて人気を博し、2019年10月に書籍が販売された正統派ラブコメです。

作者はネコクロ。イラストはおもおもも。

一巻発売後、即二巻発売も決定されました。

「小説家になろう」原作、長文タイトルは地雷なのか? 実直な感想と共に、本日はこの作品をレビューします。

 

作品情報

あらすじ
オタクで友達もおらずクラスで馬鹿にされている高校生・神崎海斗。ネットで知り合った顔も知らない女の子とのやりとりだけを楽しみに、ボッチ街道を驀進する日々を送っていた。しかし父親の再婚に伴い、学園一の高嶺の花で才色兼備の美少女・桃井咲姫と、その妹の優しくてかわいく胸も大きい桃井桜が、突然家族になってしまう! 桜には猛烈に懐かれるものの、咲姫は海斗を見下し険悪なムードに。そんなある日、咲姫が大財閥のご令嬢・西条雲母に目をつけられ、弱みを握られ窮地に陥る。姉の異変を察した桜の頼みで、事態収拾のため奔走する海斗。ボッチでオタクの海斗は咲姫を救うことができるのか!? 「小説家になろう」で大人気の超正統派ラブコメ!!
あらすじ(なろう版)
過去にあった出来事が原因で、コミュ障になってしまった主人公。
彼――名を海斗という少年の唯一の友達は、ネットで知り合った一人の女の子だけだった。
その子の素性は全くわからない……もしかしたら、女の子ですらないのかもしれない……。
しかし、海斗にとっては彼女がどんな人間であろうと、大切な友達に変わりなかった。彼の事を周りの人間は、「オタク、根暗でキモい、存在感が無い」などと馬鹿にし、事務的内容以外では近寄るものすら居ない。そんなボッチ生活まっしぐらのある日、父親の再婚が原因で――幸か不幸か、彼の生活は一変する。
美人姉妹と家族になってしまった海斗。
本来なら、喜ぶべきことかもしれない。しかし、彼はそれに対して絶望し――そして心にある誓いを立てたのだ。
(この女、いつか絶対泣かす!)――と。海斗は次第に、学園屈指の他の美少女達とも接点を持ち始める。彼女達のせいで、今までのボッチ生活という名の平穏が一変し、リア充生活という名の波乱に放り込まれる海斗。果たして彼が行き着く先は、天国なのか地獄なのか――。
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感想(ネタバレあり)

先ずは序文から述べていく。

「小説家になろう」は実に玉石混淆、良作も駄作も溢れた小説投稿サイトである。

出版社はここの数年、もっぱら異世界ブームであることに違いない。新人賞の受賞作を見れば、レーベル問わず、異世界ものが多数名前を連ね、そして異世界ものではなくとも、長文タイトル(ラノベ特有のではなく、タイトルに作品のあらすじを詰め込むというネット小説特有の長文タイトル)の作品が増えている。

「小説家になろう」がここ数年のサブカルチャー文化を牽引していると言っても過言ではないだろう。プロ問わず、アマチュアも参加する大きな窓口の中で、ブームの先駆け的な作品がいち早く(物理的にもワンボタンで)誕生し、右に習って同色の作品が多く生まれる。

「小説家になろう」は良作と駄作が溢れたサイトである。

後者の多くは、小説の内容を後に、ランキングに乗るための技術だけを培う。

なろうのランキングではあらすじは表示されず、タイトルだけが表示される。ランキングに乗るための技術とは、つまり先ほども述べたように、タイトルに作品の要素を如何に詰められるかということだ。

 

そしてそれが上手く機能すれば、ランキングで上位に入り、作品の価値(似通った作品が多数あることを、あるいは読んでいる小説が継ぎ接ぎだらけの小説であることを)を判断できない若年層によって支持され、数字の取れた作品をネット小説ブームに則った出版社が書籍化する。

 

「小説家になろう」では出来の良い作品を書く作者ではなく、如何に書籍化されるかを軸に置いた賢い作者が生き残るのである。

 

長い序文を述べた。それは決して今回読んだ「ボッチのオタクである俺が、学内屈指の美少女たちに囲まれていつの間にかリア充呼ばわりされていた」を貶すために書いたものではない。

むしろ上記の序文が個人的な感情に基づいた偏見でしかなかったことを、読後思い知らされたのだ。

 

端的にこの作品は良作だった、素直に面白かった

 

主人公、神崎海斗は自他共に認めるぼっちである。彼の唯一の友人はネット上で存在する顔も性別も知らない相手のみ。

ある日、主人公の父親の再婚を機に、二人の少女、クールビューティーな同級生・桃井咲姫、明るく人懐っこい妹・桃井桜がやって来る。

家族になった彼女らと共に波瀾万丈な日常を過ごしていく主人公。しかし財閥の令嬢・西条雲母によって、咲姫は窮地に陥ってしまう。

 

売り文句通り、実に正統派ラブコメだ。

主人公のことを毛嫌いするヒロインヒロインに窮地が訪れる主人公が助け、ヒロインが主人公に惚れる。

そしてこの作品には王道的なラブコメテンプレートに、正体を隠す主人公という流行を取り入れている。

ぼっちで、うだつの上がらない主人公隠していた実力を発揮する周囲の人間が驚愕し、主人公を見る目が変わる。

 

この作品が評価され、書籍化するまでに至ったのは、その王道と流行を上手い塩梅で掛け合わせた物語の構成にあるのだろう。

 

この作品では読者をドギマギさせるような演出も多い。

その一つは、主人公がネット上でやり取りする『花姫』の存在にある。

 

読者の多くは序盤にて、『花姫』の存在がヒロインの一人である『桃井咲姫』であることに気付く。

そしてそれが登場人物(咲姫)に明かされるのは、一巻の最終盤だ。

それまでの間、主人公と咲姫は互いの正体を知らないまま、互いに毛嫌いしながら同棲していくのである。

 

逆叙述という手法がある。

ミステリーのトリックで主に使われる手法だが、物語の展開に盛り上がりを見せるために他ジャンルでも多く使われる。

叙述とは、作中の事実を読者に伏せる手法だが、逆叙述とは、作中の事実を読者だけが知っており、登場人物にはそれを知らせないという手法である。

 

おそらく一巻の構成(物語の最後に主人公等の秘密を明かす)は編集者らと兼ね合い決めたものだろう。このヒロインとの関係を焦らし、続きを想像させる構成が実に個人的な好みと合致していた。

 

勿論、悪い部分がないとは言い切れない。

はっきり言うと、文章はかなり素人くさい。

・会話は二次元ナイズされたような、現実ではあり得ない臭い会話が続く。

・語彙不足が目立つ。「思う」、「見る」、「言う」等の多用。

・短文が何度も続き、文章リズムに違和感を覚える。

とは言え、上記は個人の好みによるだろう。文章自体は分かりやすく、読みやすい。物語が理解できれば、文章はどうでも良いという読者には合致する作品だあると思う。

 

二巻発売が決定されたとは言え、「小説家になろう」では未だ無料で全話読むことが出来る。

なろう版を読み、面白ければ買うことをお薦めする。

本日はこの辺で。

 

 

 

 

 

 

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