

024―クルイ
広場南西のベンチにて会話している二人を遠くから静観している者がいた。
名はフセイン。
――人間だ。
しかし彼は普通の人間とは程遠かった。
彼は未知の存在に対して、異常なまでの、常軌を逸するほどの熱意を持っていた。
――宇宙人狂い。
彼の信仰にすら近いその狂乱的な言動を見て、彼に出会った人々は皆彼を『宇宙人狂い』と呼んだ。
「……なるほどねぇ。あは、あっハッハは。あッハッハッはっはっ!」
誰にも見られていないことを良いことに、不気味な笑い声を上げるフセイン。
鬱々とした表情で議論に赴くシャディ達と違って、その足取りは軽く、表情も喜色満面の笑みを浮かべている。
「最高だ!」
フセインのねっとりとした声と不気味な引きつり笑いに誰も気づかなかった。
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