【ラノベレビュー】幼なじみが絶対に負けないラブコメ(電撃文庫)【感想、批評、ネタバレ】
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今回は電撃文庫から『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』をレビューします。

作者は二丸修一。2011年初版発売の『ギフテッド』がデビュー作(多分)。『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』は発売後即重版となり、水瀬いのり、佐倉綾音ら人気声優によって、一巻発売時点でPVが作られた話題作になります。

キャッチコピー『初恋VS幼なじみ 幼なじみが負けヒロインの時代は終わった! 全ての幼なじみ好きに送るラブコメ!!』やタイトルでストーリーの方向性は見えてきますが、一体どのような物語なのでしょう。

それでは本編。

 

作品情報

幼なじみラブコメの最先端
ライトノベルにおける幼なじみのイメージといえば、家が近所で、子どもの頃から主人公を好きで、そして当て馬的ポジションになりがち、そんな印象を持っていませんか!?
確かに、しっかり主人公とくっつく幼なじみもいます。だがしかし! 昨今の幼なじみは負けヒロインとなる確率が高いのです! でも、そんな報われない幼なじみ、みなさん好きですよね? ラブコメ作品なら絶対登場させて欲しいですよね? そして偶にはヒ ロインレースに勝利して欲しいですよね。
そんな全ての幼なじみファンに贈るのが『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』なのです!
主人公の丸末晴はクラスメイトの美人女子高生作家、可知白草に初恋をしたのですが、彼氏がいることを知ってしまい落ち込みます。男子ならだれでも経験のある「好きな子に彼氏ができると自分が振られた気分になる」というアレです。
しかも末晴の場合は初恋。これは滅茶苦茶ダメージが大きい。そんな時に、以前告白されたことがある幼なじみ、志田黒羽にに優しくされたら……これはもう好きになっちゃいますね。
しかし、そのまますんなりとはくっつかないのが本作。幼なじみと初恋の少女を巡り、一体どんな結末が待ち受けているのか、最後まで目が離せません!
あらすじ
幼なじみの志田黒羽は俺のことが好きらしい。家は隣で見た目はロリ可愛。陽キャでクラスの人気者、かつ中身は世話焼きお姉系と文句なしの最強である。
……でも俺には、初恋の美少女で学園のアイドル、芥見賞受賞の現役女子高生作家、可知白草がいる! 普通に考えたら俺には無理めな白草だけど、下校途中、俺にだけ笑顔で会話してくれるんだぜ! これもう完全に脈アリでしょ!
ところが白草に彼氏ができたと聞き、俺の人生は急転直下。死にたい。というかなんで俺じゃないんだ!?俺の初恋だったのに……。失意に沈む俺に黒羽が囁く――そんなに辛いなら、復讐しよう? 最高の復讐をしてあげようよ――と。
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感想(ネタバレあり)

一巻読了時点での感想になります。最新刊である二巻は2019年10月10日に発売されたようですがまだ読んでいませんので、ご了承ください。またネタバレも多分に含みます。

 

物語の本質は『復讐』と、その復讐に対し各々の登場人物らが寄せる『思惑』にある。

主人公・丸末晴は初恋の相手、美少女小説家である可知白草に彼氏(イケメン二世俳優の先輩、阿部充)がいることを知り、落ち込んでしまう。そんな中、主人公に『彼女に復讐をしよう』と幼なじみの志田黒羽が復讐を持ちかける。

勝手に裏切られた気持ちになって、可知と阿部に対し復讐をしようと心持ちを固める主人公は、確かに自分本位で、幼稚だろう(某販売サイトの低評価レビューの多くは原因がそこにあるらしい)。ストーカーのようなたちで、幼なじみ(数ヶ月前、告白されたが振っている)の甘言に乗り、『手段を選ばない』と彼氏である阿部充の悪評を集めて、白草の評判まで落とそうとする主人公の幼稚性を受け入れられない読者もいたことだろう。

ただ物語を読み進めていけば、それが幼なじみの策略であることは容易に読解できる。

この物語の本質の一つは、その復讐を画策し、実行する幼なじみ・志田黒羽の『思惑』にある。

『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』というタイトルの意味とはそこにあるのだろう。

黒羽は主人公に振られ(当初は罰ゲームだと曖昧にぼやかす)、そして白草に彼氏がいることを知って落ち込んだ主人公を見て、復讐を決意する(直接的な描写はない)。その復讐とは、つまり主人公を悲しませた白草ではなく、主人公に対するものだ。

自分を振った主人公を振る。

この本を手に取って最初に眺める目次欄、四章のタイトル『我、初恋復讐完了す』は正にどんでん返し的衝撃を与えてくれた。

 

そして主人公の初恋の相手である白草にも『復讐』が用意され、『思惑』があった。

物語を進めていく内に、主人公に特別な過去があることを推測していくことになる。

主人公はかつて世間を驚愕させた天才子役だった。

しかし母親の死をきっかけに、主人公はトラウマによって、演技を出来なくなり芸能界を離れてしまう。

白草の初恋相手とは、引っ込み思案だったかつての不器用な自分に、演技で勇気を与えてくれた主人公であり、小説家を目指したのもかつて主人公とした『シロ(白草)の書いた台本で演技する』という夢があったからだ。

しかし高校生になって再会した主人公は一向に自分に気付いてくれず。そんな中、家族ぐるみの付き合いだった阿部充と共に、自分に振り向いて欲しいと主人公に復讐するようになる。

 

この物語(一巻)は主人公の自分を裏切った『白草に対する復讐』という一本の筋をメインに、その裏で密かに復讐を決意、実行する女同士の恋の闘いを描いたものだろう。読了後はそんな感想と共に、静かに本を閉じた。

ストーリーは面白く、端的に自分の好みだった。

ただ構成や文章自体に無理くり感のある場所も多々あった。

 

ラストシーンである告白祭。主人公は初恋の白草ではなく、幼なじみの黒羽に告白をする。

読者からすれば、確かに衝撃と言えば衝撃だが、余りにも唐突すぎた。前シーンに初恋の白草は主人公に自身の過去を告白する。主人公の心中は、とうに振った黒羽のことを隅に、シロ(白草)のことを思案して、阿部充と勝負することになる(阿部は白草の復讐の一環で、天才的な演技をしていた主人公と勝負することになる)。

だから流れとしては、完全に白草の方を向いていたのだが、主人公は黒羽を選んだ。それでは余りにも突然すぎるだろう。

 

また些細なツッコミではあるが、阿部充との勝負シーンで主人公はかつて世間を騒がしたダンスを踊ることに。

天才子役、天才的な演技。そう最終盤までおだてられて、主人公は最終的にドラマや舞台であるような演技では無く、ダンスをする。

構成のために仕方ないとは言え、多少なりとも無理矢理感があったのは間違いない。

 

ただ総評としては面白かった。物語は序盤も序盤。一巻(エピローグに新たなヒロインも出てきた)、二巻と出て、これからどのように物語が膨らんでいくのか、楽しみな作品である。

 

 

 

 

 

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