【018】汝は宇宙人なりや?【ホラー・ミステリー】【オリジナル小説】
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018―ルール

この食堂にいる皆と目を合わせる。

ミラ、ブレンドン、ハリム、リーナ、マイア、フセイン、クレトン、ガレン、アンジョー。

この中に二人、ステラを殺し、村の出入り口を破壊した犯人、悪魔がいる。

いや、もう誤魔化す必要はない。卑劣で、下劣な宇宙人がいる。

奴らが、僕たちをここに集めた目的はわからない。

ただ奴らは人間を殺すのに何の躊躇いも持たず、人殺しをゲームとしてしか考えていない。

本当にただ殺したいという衝動に任せて、僕たちを集めたのかもしれない。

そんな狡猾で、異常とも呼ぶべき奴らに僕らはどう歯向かっていけば良いのだろう。

「まずはルール説明と軽いおさらいをしよう」

円卓を囲んだ僕らを後ろから厳正中立に眺めていた黒い外套が口を開く。

「この十人の中には、二人の同胞、君達が言うところの宇宙人が紛れ込んでいる。我々は七十年前、この地に降り立った後、人間に擬態し隠れるように生きてきた。しかし、その平穏ももう限界だ。下剋上で成り上がってきた我々のかつての血が騒ぐのだ。我々は血を欲し、肉を欲し、そして絶望を欲す」

僕は俯く。

恐怖、不安、怒り、悲しみ、様々な悪感情が僕の心を溶かし込んでいく。

「君達の勝利条件は、この中にいる二人の宇宙人を議論によって追放することだ。我々の勝利条件は、君達を夜に襲撃し同数にまで減らすことだ」

外でも説明されたこの『追放』というゲーム。

追放と襲撃。

僕はその意味を知っていながら、もう何の躊躇もなく、その言葉を受け入れていた。

「議論の時間は一時間。議論終了後、君達に紙を渡す。そこに最も怪しいと思った者の名前を書き記し、全員から回収後、集計し票数と入れられた人物の名前を発表する。最も票を集めた者がその日の追放対象だ。なお、トップの票数が同等だった場合、公平に決めるため、このサイコロを使用する」

黒い外套が取り出したのは至って、普通のサイコロだ。

「これはゲームだ。我々としても、君達としても、公平な勝負を望むだろう。事前に人数に合わせた割り振りをし、サイコロを振る。これなら平等だ」

「起きている間は暴力に値する行為以外なら何をしても良い。そして九時に君達が意識を失った後、三十分の夜時間が訪れる。この時間に宇宙人は一人を襲撃する。時間が三十分なのは、彼らに綿密な議論を行わせないためだ。ゲームの終了は二通り。追放でゲームが終わった場合は追放後に勝利した陣営を伝える。襲撃後にゲームが終了した場合は、次の日の議論にて伝える」

このゲームのルールを大方何とか理解することができた。ただ僕にこのゲームを乗り切れる自信があるかと言うと、決してそんなことはない。スピーチや議論は僕が最も苦手としているものだ。

「最後に、私はこのゲームのプレイヤーに一切の関与をしないことを誓おう。初めから勝負の決まった出来レースなど、面白くない。それではただの理不尽だ。希望を踏み台にして、完成する絶望こそ最も崇高にして、美しい存在だ」

どうすればいいかわからない。

僕の内心に渦巻くドロドロになった感情が冷静さをその奥底へと沈める。

「私からは以上だ。以後私からは何も話さない。議論を進めるのは君たちだ。どうか最後まで希望を捨てないで欲しい。それでは議論を始めとする」

 

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