【008】汝は宇宙人なりや?【ホラー・ミステリー】【オリジナル小説】
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008―ミエナイモノ

宇宙人。もし本当にいるのなら、今の状況を説明出来るのだろうか。

僕たちは――偶然に愛されている。

もしこの偶然が意図的に起こされた必然だとしたら、僕たちはどうしてここに集まったのだろうか。

わからない。

ただそこに僕が求める神秘や未知があるのなら、僕はそれを見たい、知りたい。

「僕たちは誰かに操作されていると思いませんか?」

この村に来たことが必然であるならば、その意味は一体何なのだろう。僕ではわからない。ブレンドンはこの可能性をどう思っているのだろう。

「君の言いたいことはわかった。やはり君はジェイコブの言う通り、なかなか鋭い慧眼を持っている。もし君がこの可能性を追い続けるなら、科学者に徹しろ。真理は一つだ」

この可能性はまだ推測の域を出ない。
主観を追い続ける科学は、もはやある種のオカルトなのだろう。

科学者に徹するというのは、様々な可能性を客観視し、真理を追い求めろと言うことか。

僕たちは思考する存在であり、考える葦なのだから。

結局、ブレンドンが残したのはその言葉だけだった。
ブレンドンがこの可能性について明確に言及しないのは、僕に先入観を持たせないため、なのかもしれない。

先入観というフィルターを通して見た事象は、自分に都合の良いように解釈してしまう。

科学者にとって、先入観は毒であり、――信仰なのだ。

陽は完全に沈み、静寂が僕たちを包み込む。僕たちはそのまま広場を後にし、屋敷へ戻った。

今は屋敷の食堂にて、今日会話した皆と食事を共にしている。茶髪少女ミラお手製の夕食だ。

一週間分の食事はすでに買い込んであり、食費は同好会から出ている。今回の調査兼小旅行のために食費は多めに持ってきたが、使うことなく済みそうで、貧乏学生の身分からは素直にありがたい。

各々会話をしながら団欒を楽しんでいると、ブレンドンが皆に呼びかけるようにして大きな声を出す。

「集まってくれてありがとう。この後は各々部屋に戻ってゆっくり休むと良い。明日も自由にしていいが、惰眠を貪ることないように」

調査と言っても、特に決まった方針があるわけでもない。好きなことをして、適当に学ぶ。それができれば今回の調査は御の字だ。
とは言え自由にして良いと言われても何をすればいいのだろうか。
一つやらなければならないことが残っているが、細かいことは明日決めればいいか。今日はもう寝たい。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

時刻は早朝五時。

太陽の昇っていないこの村の朝は、夏という季節に関わらず一段と冷える。
いつもこの時間に起きているかと言えば、実際そうでもない。むしろ朝は苦手だ。

こんな早朝に起きたのには理由がある。

僕は静かに部屋のドアを開け、そのまま屋敷の外へ向かう。

今から僕は視線の正体を探し出す。
そのためには、まずは検証が必要だ。最初に視線を感じたのは、昨日の屋敷を出た後。村の看板付近にいるハリムとリーナの騒ぎ声が聞こえるのを確認し、中央の広場を通ってそこへ向かおうとした時だ。

広場の周りには木や岩などの遮蔽物はない。

あるのは広場を囲うようにして建つ四軒の家屋だけだ。その時、誰かが見ていたのなら、その四軒の内のどれかの中にいたはずだ。
屋敷を出て四、五分経った頃だったので、その時屋敷にいたステラ、ミラ、マイア、アンジョー、そしてブレンドンの中に視線の主はないだろう。
外に出ていた時はずっと視線を感じていたので、外にいたハリム、リーナ、クレトン、ガレン、フセインもない。

となると視線の正体はまだ僕の知らない誰かだ。軽い考察を終えて、四軒の家屋を一つずつ探しに行く。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ここには誰もいないか」

二軒目には誰もいなかった。一件目と同様に中は、多少のほこりが舞っていたり、クモの巣が張っていたが、綺麗・・だった。

元の持ち主の性格によるものも大きいだろうが、

それにしたって、――綺麗だ。

時間による風化を感じさせないというか、この生活感は立ち退きでは成せないものだ。外から見て思ったことだが、やはり不思議、いや不自然だ。

ただそれ以上に何かがあるわけではなかった。そもそも途中まで家屋から覗いていたというだけで、今もここにいるとは限らない。
今日視線の正体が見つからなかったら、正体探しは諦めようか。きっとそれは僕の求めるようなものではない。

僕は二軒目の家屋を出て、三軒目の家屋へ向かう。一、二軒と同じコロニアル・スタイル。間取もほぼ同じと見て問題ないだろう。ただこの家屋には他のものと違い、小さな工房がついていた。一旦、工房は無視し、僕は三軒目の家屋に入り、まずは一階部分を捜索する。一般的なダイニングにリビング。これと言ったものはないので、そのまま二階へ行く。

二階には、寝室らしき部屋に、『ダン』と名札が掛けられた部屋がある。後者は子供部屋だろう。まず後者の子供部屋に入ろうとしたのだが、

――後ろの寝室からわずかだが、布が擦れるような音がした。

あまりにも小さかったので、もしかしたら勘違いかもしれない。がしかし進行を変え、寝室の扉の前まで来てしまった。

緊張が走る。

ここまで来たら、引き下がるという選択はない。そのドアノブに手を掛け、ゆっくりと扉を開ける。テーブルに蝋燭台。本棚。

そしてこんもりと膨らんだ・・・・セミダブルのベッド。

――見つけた。僕はその膨らんだ掛け布団を引き剥がす。ゆっくりと慎重に。

 

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